紅葉のしくみ
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◆落葉樹が紅葉する。
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全ての木が紅葉するのではなく
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サクラ、カエデ、ブナ、イチョウなど葉の落ちる落葉樹が紅葉する。
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逆にマツやスギなどは、1年中葉が落ちない常葉樹で緑のまま。
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落葉樹は、冬になる前に古くなった葉をいっせいに落とす木。
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逆に常緑樹は、1年中緑色の葉をつけている木。
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ただし、常緑樹は1年中葉がついているといっても、
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カシやシイなどの常緑広葉樹では、
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春に新しい葉が出てきたら
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古い葉を落とし、新しい葉にとりかえていく。
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落葉樹は、
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冷たい空気に触れる部分をできるだけ少なくするために、
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秋に葉を落とし寒い冬を乗り越える。
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◆葉の緑色は、「クロロフィル」と言う葉緑素の粒のため
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落葉樹の夏の葉は、たいてい緑色。
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これは、葉の中には葉緑素という緑の粒(色素)がたくさんあるからだ。
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この緑の粒を、「クロロフィル」と呼ぶ。
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元々葉には、「クロロフィル」と
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「カロチノイド」という黄色の粒(色素)も含まれているのだが、
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夏の葉は、緑の粒が黄色い粒より多いので、
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黄色い粒のほとんどが隠れてしまい黄色が見えない。
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紅葉の葉は、黄色くなる葉と赤色になる葉がある。
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厳密には赤色に変わるのを「紅葉(こうよう)」、
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黄色に変わるのを「黄葉(おうよう)」、
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褐色に変わるのを「褐葉(かつよう)」と呼ぶようだが、
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これらをまとめて「紅葉」として扱われることが多い。
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◆黄色くなる葉と赤色になる葉の紅葉のしくみは違う
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秋に黄色くなる葉は、
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太陽の光が少なくなり、気温が低くなると
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緑色の葉緑素がだんだん壊れて、
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それまで隠れていた黄色い粒「カロチノイド」が見えてくる。
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葉が黄色くなるのは、
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「カロチノイド」という黄色い粒が葉の表面に現れてくることからなる。
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黄色く紅葉するのが、イチョウ、ブナ、シラカバなどだ。
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夏から秋へと季節が変わると、
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だんだんと光を浴びる時間が少なくなり寒くなってくる。
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そうなると、葉の根元と枝の間に
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「離層」と呼ばれるコルク状の物質ができる。
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この「離層」により、光合成で葉の中に作られていた糖分が
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枝の方に運ばれず、葉の中に留まってしまう。
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葉の中では、自然と糖分の濃度が上がりそこに日光が当たると、
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葉の中にある葉緑素「クロロフィル」が分解され
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糖分と一緒になって化学反応が起こり
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「アントシアニン」という赤色の色素に変化する。
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この「アントシアニン」がだんだん増えてくると、葉の表面が赤くなる。
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これが、赤く紅葉する葉の簡単な原理。
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「アントシアニン」は、「カロチノイド」と違って、
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葉が緑色の時はまだ存在していない。
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赤く紅葉するのは、カエデ、ナナカマド、
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ヤマウルシ、オオカメノキなどだ。
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ふしぎなことに、
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「落葉樹の紅葉は、木が成長する過程でどのような役割があるのか?」
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ということが解明(定説)されていなく、
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さまざまな説があるとのこと。
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◆紅葉の良し悪しを決める3つの条件
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同じ場所でも毎年色の具合が違う。
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紅葉をきれいにする要因には、3つの条件があり
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これらの条件によって、紅葉のきれいさが変化する。
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■日中の天気がいいこと
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赤い色素となる糖分は光合成によって作られる。
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日中、天気が良いことがが、きれいな紅葉となる条件のひとつ。
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■適度な雨や水分があること
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乾燥しすぎると、葉が紅葉する前に枯れてしまう。
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適度に雨や水分があることが、紅葉には好条件。
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紅葉の名所が、渓谷や川沿いに多いのは、
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この条件が揃っているからだ。
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■昼と夜の寒暖の差があること
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夜の気温が高いと、
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昼間作った糖分を使って活動してしまうので鮮やかな赤にならない。
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昼と夜の寒暖の差がある方が、
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糖分の使用が少なくきれいな紅葉となる。
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一般的に、紅葉は最低気温が
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8℃以下になると始まると言われている。
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朝の最低気温が5℃以下の日が続くと、
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もっとも美しい紅葉が見られると言われている。
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紅葉のメカニズム
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普段、葉が緑色に見えるのはクロロフィルが含まれるからである。
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秋になり日照時間が短くなるとクロロフィルが分解される。
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これは植物学的には葉の老化反応と考えられている。
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夏の間、葉ではクロロフィルが光を吸収して活発に光合成が行われる。
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落葉樹の葉では、
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気象条件が光合成に適さない冬を迎える前に老化反応が起こる。
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この過程では光合成の装置などが分解されて、
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葉に蓄えられた栄養が幹へと回収される。
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翌年の春にこの栄養は再利用される。
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栄養が十分に回収された葉では、
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植物ホルモンの1つエチレンの働きによって
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葉柄の付け根に離層ができ、枝から切り離される。
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これによって、無駄な水分やエネルギーが
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冬の間に消費されるのを防ぐことができる。
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植物の葉は「カロテノイド」色素などを使って
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光の害から自分自身を守る仕組みを備えているが、
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葉の老化過程ではカロテノイドを含む様々な分子が分解されるため、
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この過程を進める間も光による害から葉を守る必要がある。
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「葉柄の付け根に離層ができ、
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葉で作られた糖類やアミノ酸類が葉に蓄積し、
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その糖から新たな色素が作られる」とする俗説は誤りである。
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紅葉、黄葉、褐葉の違いは、
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植物によってそれぞれの色素を作り出す能力の違いと、
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気温、水湿、紫外線などの自然条件の作用による
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酵素作用発現の違いが、複雑にからみあって起こる現象とされる。
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サルビア(アキギリ)属とは、シソ科の属の一つ。
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学名「 Salvia 」。
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中南米やヨーロッパを中心に世界に約900種が分布する。
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サルビア、セージがこれに含まれる。
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1・2年草または宿根草であり、観賞用に栽培されるものが多数あるが、
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一部、薬草として用いられる種類もある。
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日本語では、観賞用のものをサルビア、
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薬や香辛料として使用できるものをセージと言って区別している場合が多い。
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日本原産の種類としてはアキノタムラソウ、
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キバナアキギリ(黄花秋桐)など約10種がある。
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サルビア(アキギリ)属の代表的な種
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アイラッシュリーブドセージ(サルビア・ブレファロイラ)
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アメジストセージ(サルビア・レウカンサ、メキシカンブッシュセージ)
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カカリアセージ(サルビア・カカリフォリア)
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クラリセージ(サルビア・スクラレア、オニサルビア)
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化粧サルビア(サルビア・ファリナセア、ブルーサルビア)
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・
ゲンチアンセージ(サルビア・パテンス、ソライロサルビア)
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・
セージ(サルビア・オフィキナリス、薬用サルビア、コモンセージ)
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タンジン
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チェリーセージ(サルビア・ミクロフィラ、サルビア・グレッギー、サルビア・ヤメンシス)
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・
ディスコロールセージ(サルビア・ディスコロール、アンデアンセージ)
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パイナップルセージ(サルビア・エレガンス)
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ブキャナンズセージ(サルビア・ブキャナニー、フクシアセージ)
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・
ボックセージ(サルビア・ウルギノーサ)
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・
メドウセージ(サルビア・ガラニチカ)
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・
ラベンダーセージ(サルビア・インディゴ・スパイアス)
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・
ローズリーフセージ(サルビア・インボルクラタ)
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黄色い花の「
エルサレムセージ」はフロミス属になります。
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ツバキ(狭義のツバキ。ヤブツバキ)とサザンカはよく似ているが、
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次のことに着目すると見分けることができる
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(原種は見分けやすいが、園芸品種は多様性に富むので見分けにくい場合がある)。
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・ツバキは花弁が個々に散るのではなく萼と雌しべだけを木に残して
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丸ごと落ちるが(花弁がばらばらに散る園芸品種もある)、
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サザンカは花びらが個々に散る。
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・ツバキは雄しべの花糸が下半分くらいくっついているが、
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サザンカは花糸がくっつかない。
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・ツバキは、花は完全には平開しない(カップ状のことも多い)。
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サザンカは、ほとんど完全に平開する。
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・ツバキの子房には毛がないが(ワビスケには子房に毛があるものもある)、
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サザンカ(カンツバキ・ハルサザンカを含む)の子房には毛がある
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・ツバキは葉柄に毛が生えない(ユキツバキの葉柄には毛がある)。
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サザンカは葉柄に毛が生える。 |
七草(ななくさ)は、人日の節句(1月7日)の朝に、 |
7種の野菜が入った羮(あつもの)を食べる風習のこと。
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本来は七草と書いた場合は秋の七草を指し、
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小正月1月15日のものも七種と書いて「ななくさ」と読むが、
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一般には7日正月のものが七草と書かれる。
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現代では本来的意味がわからなくなり、
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風習だけが形式として残ったことから、
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人日の風習と小正月の風習が混ざり、
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1月7日に”七草粥”が食べられるようになったと考えられる。
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昔の七草
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米・粟・キビ・ヒエ・ゴマ・小豆・蓑米(ムツオレグサ)
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昔の七草とは、これ以下の「春の七種 (はるのななくさ)」や
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「秋の七種 (あきのななくさ)」と異なることを指す。
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春の七種
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春の七種とは以下の7種類の植物である。
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・芹(せり)/芹/セリ科
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・薺(なずな)/薺(ぺんぺん草)/アブラナ科
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・御形(ごぎょう)/母子草(ははこぐさ)/キク科
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・繁縷(はこべら)/繁縷(はこべ)/ナデシコ科
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・仏の座(ほとけのざ)/小鬼田平子(こおにたびらこ)/キク科
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・菘(すずな)/蕪(かぶ)/アブラナ科
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・蘿蔔(すずしろ)/大根(だいこん)/アブラナ科
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現在の7種は、1362年頃に書かれた
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『河海抄(かかいしょう、四辻善成による『源氏物語』の注釈書)』の
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「芹、なづな、御行、はくべら、仏座、すずな、すずしろ、これぞ七種」
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が初見とされる。
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秋の七草
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秋の七草は以下の7種の野草のことである。
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・女郎花(おみなえし)/オミナエシ科
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・尾花(おばな:薄(すすき)のこと)/イネ科
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・桔梗(ききょう)/キキョウ科
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・撫子(なでしこ)/ナデシコ科
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・藤袴(ふじばかま)/キク科
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・葛(くず)/マメ科
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・萩(はぎ)/マメ科
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山上憶良が詠んだ以下の2首の歌が
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その由来とされている(2首目は旋頭歌)。
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・秋の野に 咲きたる花を 指折り(およびをり)
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かき数ふれば 七種(ななくさ)の花(万葉集・巻八 1537)
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・萩の花 尾花 葛花 瞿麦の花 姫部志(をみなへし)
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また藤袴 朝貌の花(万葉集・巻八 1538)
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「朝貌の花」が何を指すかについては、
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朝顔、木槿(むくげ)、桔梗、昼顔など諸説あるが、
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桔梗とする説が最も有力である。
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春の七種と違い、秋の七草に直接何かをする行事は特にない。
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秋の七草は、それを摘んだり食べたりするものではなく、
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眺めて楽しむものである。
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ホトトギス属植物は19種知られており、
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いずれも東アジアに生育している。
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日本には13種分布しているが、この内の10種は
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日本だけに生育する日本固有種である。
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この分布の様子から、日本はホトトギス属の分化の中心地と云える。
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ホトトギス属は大きく4つのグループ(節)に分けられる。
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第1のグループは黄色の釣り鐘型の花冠を持つジョウロウホトトギス節で、
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ジョウロウホトトギス、キイジョウロウホトトギス及び
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サガミジョウロウホトトギスの3種からなる。
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第2のグループは黄色で、上向きに咲く花を着け、
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茎に開出毛の出るキバナノホトトギス節で、
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キバナノホトトギス、チャボホトトギス、タカクマホトトギス及び
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キバナノツキヌキホトトギスの4種からなる。
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これらの2グループ(節)は日本固有種のみからなる。
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第3のグループは白色で、上向きに咲く花を着け、
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茎に斜上する毛の出るホトトギス節で5種からなるが、
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日本にはホトトギスとタイワンホトトギスの2種しか見られない。
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第4のグループは白又は黄色の花を上向きに咲かせ、
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茎に斜め下向きの毛の出るヤマホトトギス節で7種からなり、
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日本にはヤマホトトギス、ヤマジノホトトギス、セトウチホトトギス
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及びタマガワホトトギスの4種が分布している。 |